【映画】地獄でなぜ悪い

園子温監督では「愛のむきだし」以来の衝撃。開始から仁義なき戦いのテーマが流れる。自主映画撮影に憧れる4人組(ファックボンバーズ)がきっついなと感じつつも、このテンションにも次第に慣れてくる。最後はついて行くどころではなく、彼らと一緒に踊る。ここで怯んでしまうとこの映画には乗れない。歯磨きのCMもしかり。刃物を持って走る友近が霞むほどのラストが待っている。気軽にのんびりとこれは好きとか気に入らないとか言っていられるような映画ではない。熱量が違う。

國村隼うまいなあと、さすが魅せるなあと思っていたところで二階堂ふみの可愛さにやられる。國村隼だけでなく渡辺哲や長谷川博己堤真一など超強力な俳優が揃うが二階堂が重要な役割を演じるのに全く役不足を感じない。可愛すぎる。この面子の中で存在感を残す星野源もさすが。

1シーンだけ堤の女役で出てくるつぐみが良い表情するなあと。AV出演後で唯一見たがまた本格的に映画に復帰して欲しい。

キャラが立っているというレベルではこの映画では印象を残せない。自主映画4人組のカメラ2人などは出演シーン数の割にほぼ空気だったりする。

長谷川、堤、星野が限界ギリギリの変顔を見せるがそれでもふざけすぎに感じないこの映画は基本的にどうかしている。登場人物がほとんど全員一線を越えているので仕方がない。人に馬鹿だと言われようが狂っていると思われようが大好きな映画。

【映画】松ケ根乱射事件

覚書、ネタバレを含む。

山下敦弘監督、新井浩文主演。 

木村演じるならず者夫婦が出て来る時間が長過ぎ、物語上バランスをおかしくしている思う。妻の川越は鑑賞後まで後引く不気味さがあるが、木村の無表情は怖さというよりただ退屈なだけで間が持たない。

元々の脚本では、兄弟二人に重心を置いたシリアスな物語だったらしいが、周囲の人々の話を増やし町の話へと変わったのだとか。少し、結果としては物足りなく思う。

三浦友和のダメ親父ぶりが圧倒的すぎて他が霞む。川越美和はこの作品のすぐあとで事務所を辞め引退、逝去されているが、出してはいけない状況だったのではと心配になる。

農場をやっている主人公の姉とか、母とか、祖父とか描き方が雑すぎる。例えば主人公の兄がお金をパクって怒り出すところも取って付けたようで物語に含まれる感じが全然しない。

三浦と川越、兄の山中崇新井浩文、知的障害があり三浦の(?)子供を身ごもる安藤玉恵など個々で見どころになる役者は多いが、全体として面白くなく、最後の乱射もカタルシスに届くことなく空砲に終わる。

【映画】ムカデ人間

覚書、ネタバレを含む。

 

冒頭、肛門と口が結合された3頭の犬の写真を愛おしそうに撫でる君の悪い男。そこに現れた野外で用を足そうとトラックを降りた男の後をつけ銃口を定める。

 

B級アメリカホラーの教科書のような女性二人が登場、タイヤがパンクし雨の中助けを求めて駆け込んだ家は冒頭の男が住んでいる。レイプドラックを飲まされ意識を失う。

 

流れるような展開で舞台は整い、3人はベッドに拘束される。男(ヨーゼフ)はシャム双生児の分離手術の名医だったが、人間を結合することで新たな生命体を創造することに取り憑かれていることが明かされる。と、ここで突然ヨーゼフのひらめきでトラックの男を殺害、代わりに日本人が連れてこられる。

 

集めた人間を結合する際、先頭は言葉が通じないほうがよいからとのことだが何故日本人なのか。これまで独創的かつ変態的なアイデアを世界に発信し続けた功績だと思う。

 

ちなみにカツロー役の北村昭博はハリウッドで監督志望の日本人だった。この役がきっかけでアメリカでプチブレイク、日本に逆輸入されたりする。結合される人間とは思えないほど北村の役は美味しい、他の二人の女優はB級映画を楽しもうという気持ちを差し引いても現実での評判が気になるほど気の毒なことこの上なしでいたたまれない。また、彼の母親は京大卒のインテリらしいが、この役をやるにあたり息子から相談されたときぜひやれと言い放ったらしい、さすが京大。

 

脱走を試みて失敗するなど基本のホラーシーンをしっかり入れつつ、気持ち悪さとヨーゼフの狂気をやりすぎず適度に散りばめてくる。監督の趣味に走りすぎず制御が効いており、時間配分もちょうどよく感じた。

 

人間結合のインパクトが強すぎてラストは正直どう転んでもなんでもいいか・・・と思う。ヨーゼフが生き延びるとか、生死不明とならずとりあえずしっかり死ぬ。刑事が可哀想。

 

未見の人にこの映画を言葉で説明すると必ず気持ち悪く思われそうだけど、逃げて真ん中にされた女性が生き残るとか、ホラー映画のセオリーを守っているから意外と後味が悪くない。変にドキュメンタリーっぽくされていたら多分もうダメ。

【映画】ミスター・ノーバディ

繰り返しの鑑賞に耐えうる映画は少ないが、「ミスター・ノーバディ」は間違いなくその中に入る。

「ではどれか1つを選べということか?私の生きたどの人生もが真実だ。どの道も正しい道だった。『人生には他のどんなことも起こり得ただろう。それらには同等の意味があったはずだ』テネシー・ウィリアムズだ。年を取れば分かる。」

アンナ、エリース、ジーン3人の誰と結ばれるかによって大きく人生が変わるニモ。アンナ以外は大体バッドエンドになるのが可哀想。エリースはまだしも、ジーンが特に大した理由もなく不幸になるという不遇っぷり。ぶっちぎりに幸せなのがアンナルートで、15歳のアンナが可愛すぎる、突然兄弟になって同棲とかなにそれ。

展開されるパラレルワールドに、当然どれが本当の彼の人生だったのか?という疑問が湧くのだが、彼は生まれるときに天使に記憶を消されなかったため両親が別れるときに未来が見えており、選択することができずに実はどのルートにも行っていなかった、としたらどうだろう。母を選んだ、アンナと結ばれる訪れなかったルートを夢想して眠りにつく、誰にもならなかったニモ。

クレジットカードを不正利用された話

別にたいした話ではないんですが、クレジットカードを不正利用されるなんて人事だと思っていたので。

 

11月に見慣れない番号から着信があり、出てみるとORICOのカードデスクからで、「XX月XX日にネットで50,000円のカード利用があるが、間違いないか」という確認だった。

ORICOはminimiの家賃支払のため半ば強制的に作らされたカード(大した特典もないくせに年会費を取られる似非ゴールド)だったので、基本的に家賃以外に使用しない。覚えがありません、と伝えると「では不正利用された可能性があるため取り消す、利用分の50,000円は支払う必要はない」と言われた。

どこで使われたのか尋ねるとDMMだという。艦コレとアダルトで有名なあそこか。ポイント買うのに使われたんだろうな。

 

カードの不正利用なんてされたことがないので驚いたが、カードデスクの担当は非常に慣れた様子で「覚えがない」と言っただけですぐに取り消してくれた。

自分で使って知らないと言ったらどうなんだろう。被害届けを出してDMMに警察から照会が行くのだろうか。カードの不正利用で逮捕、というのはあまり聞いたことがない。いちいち発表しないだけか。

 

周りからはカードを停止したほうが良い、と言われるのだけど面倒なので放置している。もう一回不正利用されたら考える。

大瑛ユキオ「ケンガイ」1,2巻についての所感

大瑛ユキオ「ケンガイ」2巻発売を機にまとめ買いしてむさぼり呼んだ所感。

  • 超面白い
  • 白川さんが素敵
    生理とまるくらい酷い食生活してるくせに好きなものにはお金を惜しまない、
    行動を合わせてくる伊賀に露骨にいやな顔をする、何気に背が低い、貞操観念破綻してて彼氏でもない伊賀を家に入れるくせに詳細は小島さんにも教えない、自分のせいで落ち込んでる伊賀を見て嬉しそうにする、「悪意を信じる」なんて言い切る(中島みゆきの歌詞かと)白川さんがとにかく素敵
  • 面白い映画を見ると相手の気分お構いなしにテンションが上がっちゃったり、機嫌が良くなってもらったチケットのお礼をしたくなったり、数少ない友人に1日だけ会いに夜行バスに乗り込む(お気に入りのラジオをニヤついて聴く)ところとか愛らしい
  • 「世間とはちょっとずれた人たち」に属していることを自覚しながら、幼稚な「私達はあいつらの知らない素敵な世界を知ってる」感がなく、変に自分を擁護しない姿勢が好ましい。ちょっと自虐入ってるせりふはあるけど。複雑な家庭環境だったらしいがそこをこれからどう掘り下げるのか、あるいは触れないまま通すのか
  • 映画が好きなのに他人に興味が無いと言い切るあたりがリアル
  • 映画に詳しいバイトの先輩と親しげに話したり帰りを待ち合わせて一緒に試写会に行く様子に嫉妬する主人公に共感する
  • 親身なんだけど、とりわけ有効なアシストをしてくれるでもない静夫と小島の距離感が心地良い
  • 白川さんの性格と行動がいつもストレートすぎるせいか、巻末漫画に意外性がなく面白い感じにならない
  • あの性格を変えることなくハッピーエンドを迎えるにはどうしたら良いのか、割と真剣に考えてしまう。現実には伊賀君に出会えなかった白川さんが大勢いるはずだ。白川さんが男だったらそんなに生き難くもないのだろうが・・・伊賀くん頑張れ
  • 映画見に行きたくなった
    10~20代に見てた映画や役者が会話にポンポン出てきて懐かしい、俺もそんな話したい
    濃いオールナイト見たい。新文芸座、アニメ特集はほどほどにしてくれ
    映画が始まる前に黙り込んでチラシ(?)を読む白川さんの一コマが好き
    オールナイトを一人で見に来る女性の雰囲気が好きで、いつも話しかけたい衝動に駆られるも、不可知の苦しみを甘受する喜びも捨てがたいと気持ち悪いことを考えていたのを思い出した
  • 中性的
    作者名がユキオだが、本当に男性なのだろうか。久保ミツロウ的なペンネームではないのだろうかと勘ぐりたくなる。
  • 線が綺麗じゃない
    絵に関して難癖つけるのはおこがましいけど、この人の書く線はあまり綺麗じゃない。口元の歪みは意図的にやっているのか知らんが、全体的にそれっぽく見える程度に引かれた線が背景だったり服だったり髪だったりに見られるのが気になる

【映画】追悼のざわめき

この映画を見る・語るときには公序良俗からひととき離れること。

見たくないもの、直視したくないものを延々と見せつけられる。「普段綺麗事で片付けられている世の中は実際そんなものじゃないんだよ現実はこうなんだよ、差別や偏見に満ちた世界を見てみなよ、でもそこで必死に生きる姿は美しいんだよ」とでも言えばこの映画の趣旨を説明できているだろうか。ちょっと違う気がする。偏愛を貫くがために狂っていくラブストーリーとして見るべきか。阻害された立場だからこそより一層際立つ・・・

言葉にすると少しづつずれが生じるので、日頃の生活では忘れてしまう、ギリギリの気持ちにさせてくれるという点で好きな映画だと言うに留める。

言うまでもなく凄まじい映画なんだけれども現代で当時の熱量が伝わるんだろうか。1981年生まれの僕は傷痍軍人など見たことがない。東京生まれ東京育ちでは在日も朝鮮人の部落の影もない。体の不自由な人について悪くいうことはタブーという世間の雰囲気が身についてる。傷痍軍人を蹴り金を奪うシーンは初め笑うところだと思った。小人がバスで転び笑われるところは斬新な反応だなと感じた。見る世代によってリアリティが失われていくのは確かだと思う。時代的な背景が失われていく分、偏執的な愛情の物語となっていくとも言える。

伝説のカルト映画!という触れ込みはどうだろう。エログロ近親相姦食人小人と詰め込みすぎたせいでそうなったのだろうが、話題を狙ってやっているのとはちょっと違う、一定の必然性を感じる。ただ、あの美形の兄弟のくだりはちょっとわかんないなあ・・・二人のシーンで流れるチープな音楽とか笑ってしまう。

・小人の兄弟の布団に書かれている「御祝」の文字、乞食のおっさんが二股の木に泣きながらパンツ履かせるところ、妹を殺した兄がもっともがけとか言いながら自転車をから漕ぎしてるシーンが好き

・小人の妹の夏子役の人が2011年頃になって出した手記で知ったのだけれど、学校に乱入するシーンは許可とってなくてパトカーが来たっていうエピソード好き

・監督のインタビュー曰く、フランシス・ベーコンとマルク・シャガールの絵画からこの映画の発想が生まれたらしいけどちょっと良く分からない

・殺される妹を演じた当時10歳の子役のその後を気にしない人はいないはず。残念ながら消息不明。あの可憐さは映画史に残るレベルと思うけど、その後の人生が心配