大瑛ユキオ「ケンガイ」1,2巻についての所感

大瑛ユキオ「ケンガイ」2巻発売を機にまとめ買いしてむさぼり呼んだ所感。

  • 超面白い
  • 白川さんが素敵
    生理とまるくらい酷い食生活してるくせに好きなものにはお金を惜しまない、
    行動を合わせてくる伊賀に露骨にいやな顔をする、何気に背が低い、貞操観念破綻してて彼氏でもない伊賀を家に入れるくせに詳細は小島さんにも教えない、自分のせいで落ち込んでる伊賀を見て嬉しそうにする、「悪意を信じる」なんて言い切る(中島みゆきの歌詞かと)白川さんがとにかく素敵
  • 面白い映画を見ると相手の気分お構いなしにテンションが上がっちゃったり、機嫌が良くなってもらったチケットのお礼をしたくなったり、数少ない友人に1日だけ会いに夜行バスに乗り込む(お気に入りのラジオをニヤついて聴く)ところとか愛らしい
  • 「世間とはちょっとずれた人たち」に属していることを自覚しながら、幼稚な「私達はあいつらの知らない素敵な世界を知ってる」感がなく、変に自分を擁護しない姿勢が好ましい。ちょっと自虐入ってるせりふはあるけど。複雑な家庭環境だったらしいがそこをこれからどう掘り下げるのか、あるいは触れないまま通すのか
  • 映画が好きなのに他人に興味が無いと言い切るあたりがリアル
  • 映画に詳しいバイトの先輩と親しげに話したり帰りを待ち合わせて一緒に試写会に行く様子に嫉妬する主人公に共感する
  • 親身なんだけど、とりわけ有効なアシストをしてくれるでもない静夫と小島の距離感が心地良い
  • 白川さんの性格と行動がいつもストレートすぎるせいか、巻末漫画に意外性がなく面白い感じにならない
  • あの性格を変えることなくハッピーエンドを迎えるにはどうしたら良いのか、割と真剣に考えてしまう。現実には伊賀君に出会えなかった白川さんが大勢いるはずだ。白川さんが男だったらそんなに生き難くもないのだろうが・・・伊賀くん頑張れ
  • 映画見に行きたくなった
    10~20代に見てた映画や役者が会話にポンポン出てきて懐かしい、俺もそんな話したい
    濃いオールナイト見たい。新文芸座、アニメ特集はほどほどにしてくれ
    映画が始まる前に黙り込んでチラシ(?)を読む白川さんの一コマが好き
    オールナイトを一人で見に来る女性の雰囲気が好きで、いつも話しかけたい衝動に駆られるも、不可知の苦しみを甘受する喜びも捨てがたいと気持ち悪いことを考えていたのを思い出した
  • 中性的
    作者名がユキオだが、本当に男性なのだろうか。久保ミツロウ的なペンネームではないのだろうかと勘ぐりたくなる。
  • 線が綺麗じゃない
    絵に関して難癖つけるのはおこがましいけど、この人の書く線はあまり綺麗じゃない。口元の歪みは意図的にやっているのか知らんが、全体的にそれっぽく見える程度に引かれた線が背景だったり服だったり髪だったりに見られるのが気になる