【映画】ムカデ人間

覚書、ネタバレを含む。

 

冒頭、肛門と口が結合された3頭の犬の写真を愛おしそうに撫でる君の悪い男。そこに現れた野外で用を足そうとトラックを降りた男の後をつけ銃口を定める。

 

B級アメリカホラーの教科書のような女性二人が登場、タイヤがパンクし雨の中助けを求めて駆け込んだ家は冒頭の男が住んでいる。レイプドラックを飲まされ意識を失う。

 

流れるような展開で舞台は整い、3人はベッドに拘束される。男(ヨーゼフ)はシャム双生児の分離手術の名医だったが、人間を結合することで新たな生命体を創造することに取り憑かれていることが明かされる。と、ここで突然ヨーゼフのひらめきでトラックの男を殺害、代わりに日本人が連れてこられる。

 

集めた人間を結合する際、先頭は言葉が通じないほうがよいからとのことだが何故日本人なのか。これまで独創的かつ変態的なアイデアを世界に発信し続けた功績だと思う。

 

ちなみにカツロー役の北村昭博はハリウッドで監督志望の日本人だった。この役がきっかけでアメリカでプチブレイク、日本に逆輸入されたりする。結合される人間とは思えないほど北村の役は美味しい、他の二人の女優はB級映画を楽しもうという気持ちを差し引いても現実での評判が気になるほど気の毒なことこの上なしでいたたまれない。また、彼の母親は京大卒のインテリらしいが、この役をやるにあたり息子から相談されたときぜひやれと言い放ったらしい、さすが京大。

 

脱走を試みて失敗するなど基本のホラーシーンをしっかり入れつつ、気持ち悪さとヨーゼフの狂気をやりすぎず適度に散りばめてくる。監督の趣味に走りすぎず制御が効いており、時間配分もちょうどよく感じた。

 

人間結合のインパクトが強すぎてラストは正直どう転んでもなんでもいいか・・・と思う。ヨーゼフが生き延びるとか、生死不明とならずとりあえずしっかり死ぬ。刑事が可哀想。

 

未見の人にこの映画を言葉で説明すると必ず気持ち悪く思われそうだけど、逃げて真ん中にされた女性が生き残るとか、ホラー映画のセオリーを守っているから意外と後味が悪くない。変にドキュメンタリーっぽくされていたら多分もうダメ。